コラム「人を傷つけない人間にするにはE」|幼児教室探しの『幼児教室どっとこむ』

−人を傷つけない人間にするには E−

長年子どもたちと関わってきて、悲しいと感じる時があります。それは、子どもが自分自身を否定する時です。
例えば「どうせ、ぼく(わたし)なんてできない。」或いは、「できなくていい!」と言う時です。
もちろん、口先だけで言っているときは良いのですが、本人が本当にそう思っている時があるのです。自分を大切に思えないのに、他人を大切に思えるわけがありません。なぜなら自分を否定する心があると、起きた出来事を妬み、自分だけの世界に入っていきがちです。その結果、どこかで人を殺傷したとしても、なんの不思議もありません。

まだこの世に生を受けて数年しかたっていないのに自分を否定するなんて、こんなに悲しい事はありません。でも、どうしてたった数年でこのような感覚になる子がいるのでしょう。それは、「できる喜び」や「知る喜び」、そして、「人と関わる楽しさ」を知らずにその月齢になるからです。
子どもたちは本来、向上心のかたまりです。幼い子どもは何かができると、からだ全体を動かして喜びを表します。そして、ほめてもらうと満面の笑みを浮かべます。少し成長すると、人の役にたつことで喜びを感じるようになります。ここまでくると、大人と一緒です。恋愛しているときは何かしてもらいたいと思いがちです。でも、本当に好きになると、その人のために何かしてあげたいと思うようになり、そこに自分の存在価値を見出すようになると言えます。子どもたちも人の役に立つと 誇りに満ちた表情をするのはそのためです。

これは自尊感情のなせる業だと言えるのではないでしょうか。その自尊感情に水をさすのが、周りの大人ではないかと私は感じます。気づかずに子どもたちを傷つけているのは親なのかもしれないと思うからです。
例えば、子どもが何か行なってくれたとき、「○○ちゃん、なに余計なことをしているの。ほら、かえって□□になっちゃったじゃない!」と云うように言ってはいないでしょうか。こんな時は 「○○ちゃんありがとう。△△してくれたのね。」と、まずは自ら気づいて行動を起こしたことを認めてあげることが大切です。その上で、「□□になっちゃったわね。今度から〜してね。」とか「〜しないように気をつけてね。」あるいは「〜する前にお母さんを呼んでね。一緒にしましょう。」というように言います。

失敗したとき、一番傷ついているのが本人です。傷に塩を塗るような言動は慎みましょう。そのような母親に限って、他の機会に「だいじょうぶよ、やって御覧なさい。」などと、やらせようとするものです。

幼児の場合の自尊感情は、「いろいろなことが、自分の力だけでできるようになる」といったことと 密接なつながりがあります。成功は小さな失敗の積み重ねの上にあります。できるようになる前にできない状態が在るわけで、その時、いかになげださないでがんばる子にするかが、世の中を肯定し前向きに生きられる子になるかの境目なのではないでしょうか。   … つづく

母と子のオムニパーク(潤心会)
福岡 潤子先生

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